2023/11/07 13:27

11月に入りました。
寒さも増し、金木犀の香り、黄金に輝く稲穂等、秋の深まりがピークを迎えつつある今日この頃です。

さて、年末が近づいてくると、昨年末の衝撃ニュースが頭をよぎります。
そう、「ホワイトハウスコックス年内で廃業」です。
理由は経営者の後継がいない事のようです。
実際は、そんなシンプルな話だけではないのかなとも思っています。

約2〜30年前から、日本のセレクトショップ等に並び、雑誌等でも頻繁に紹介されてきた"英国王室御用達"ブランドであり、世の中にブライドルレザーを広めてきたパイオニア的な最重要な存在であります。

個人的には、昔に服屋さん巡りをしていた時代に様々なショップで並べられていていました。
カチっとした格式高い佇まいでありながら、彩り豊かなブライドルレザーの美しさに目を奪われたものでした。
とは言え、10代の人間が手軽に購入出来るような価格でもなく、ただただショーケースの中を眺めるだけの憧れの存在でした。

今思えば革製品に興味を持ち始めた大きなキッカケの一つであり、革小物の分野では常に意識してきた存在であり、今でも憧れや影響が薄まる事はありません。
ホワイトハウスコックスのように、長年多くの人に愛され続ける存在になりたい。っていう気持ちもずっと消えないでしょう。

そして、何を隠そう、当工房での顔の一つでもある"Basic"アートウォレットの二つ折り財布は、ホワイトハウスコックスの二つ折り財布を研究し、日本円サイズ用にブラッシュアップし、独自のデザインを加味して誕生させたものなんです。
"番外編"として英国産ブライドルレザー版があるのは、ちゃんと理由があって根っこが繋がっているんです。

そんな、個人的なアイドルであるホワイトハウスコックスが無くなるというニュースを知った時は、嘘でしょ?と信じ難い状態でした。
喪失感のような、目標の一つが消えてしまうような感覚で、少し力が抜けてしまった時もありました。

そして、ホワイトハウスコックス廃業の昨年末から時間は流れ、2023年の今夏、あるニュースが飛び込んできたのでした。

なんと、恐縮ながら存じあげませんが、日本の会社「株式会社ヤマニ」がホワイトハウスコックスの商標権を買い取り継承するというニュースを目にしました。

そのニュースを目にした時に、
えっ、そうなの?
ホワイトハウスコックスは無くならないんだ。良かった〜!とホッとした気持ちとは裏腹に、ある事が頭によぎりました。
個人の憶測の範囲ではありますが、
名前が残るって意味ではあるけど、
生産国やデザイン等、
今後、自分が知っているホワイトハウスコックスとは違うかたちになっていくような、
何とも言えない気持ちにはなってしまいました。

それも時代の流れだと受け入れるしかないのですが。

いずれにしても、一人のファンとしては英国で150年続いてきた一つのスピリットのかたちは一旦終焉を迎えるという認識ではいます。

時代に翻弄されるホワイトハウスコックスをただ眺める事しかできない1ファン1個人としての無力さに打ちひしがれつつも、
ただ、変わらずWHCへのリスペクトを持ちながら、出来る事を着実に頑張っていこう!と帯を締めなおした、そんな2023秋の始めでございます。

気持ちを新たに、
これからクリスマスにかけて繁忙期に入っていきますが、ただただ一つ一つのご注文に120%を注ぎ、お喜び頂ける商品作りに尽力してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

補足:11月中旬以降はクリスマスプレゼントのご注文により、通常よりも納期を頂くケースもございます旨、ご理解の程いただけましたら幸いです。

それでは、また来月!