2023/03/02 11:54


暖かい日が増えてきましたね。
まだまだ寒さも厳しいですが、木々なんかを見ていると、春はすぐそこと感じさせる3月ですね。

3月と言えば、ひな祭りなんかもあったりしますが、一番のイベントと言えば、何と言ってもやっぱり卒業シーズンですね。

毎年この季節の空気を感じると、別れや、環境の変化への緊張、新たなステージへのドキドキなんかの気持ちが今も思い出されたり、ソワソワした雰囲気が町中でも感じられます。

そんな季節ですが、今回はと言いますと、
題名の通りですが、私が小学校4年生の頃の女性の担任の先生が、朝礼の全校集会でスピーチしてくれたことについて記させて頂きます。
題名がやや汚くてすみませんが、全く下品な話では一切なく、
個人的には人生の中でも、ずっと心に残ってる素敵な内容となっていますので、
どうかお気持ちを害さぬよう、最後までお付き合い頂けましたら幸いです。

遡る事90年代前半、私が小学校3年生の頃、その時の担任の先生は、女性の先生でしたが、プロレスラーのように体格も良く、時代のせいか、威圧的でやや(かなり?)暴力的な先生でもありました。
そんな中、個人的にはとても怖がりながら少し萎縮した1年を過ごしたもんでした。

そして、
4年生に上がるとクラス替えに伴い、担任の先生も代わりました。とてもホッとしたのを今でも覚えています。。

そして、
4年生の時の担任の先生は、同じく女性でしたが、
3年生の時の担任の先生とは違い、
違うどころか真逆のように、まるで天使のように優しい先生でした。
3年生時の恐怖とのコントラストもあり、私にとって、4年生時の担任の先生はとても大好きな先生でした。

そして、平和な日々はあっと言う間に過ぎ、穏やかに1年が過ぎて、3月の3学期最後の朝礼&全校集会が開かれました。

全校生徒が運動場に集まり、校長先生が少し長い話をしていたり、よくある全校集会の光景がそこにはありました。

しかしながら、校長先生が喋り終えた後、
4月から別の学校に移動になる先生方がいるとの事で、
一人ずつ、朝礼台に上がり挨拶をしていく流れとなりました。

ふと、お別れの挨拶の順番を待ち朝礼台の側に立つ先生達の方を見ると、
なんと、、
移動される先生のグループの中に、あの優しく大好きだった担任の先生がいる事に気付きました。
それを見た時に、
子供ながらにも大きなショックと寂しさを感じたのを覚えています。

移動される先生方が全部で三人程いた中で、最後に私の担任の先生がマイクを手にしました。

先生が、朝礼台に上がっていく姿を見て、やっぱり本当に移動しまうんだという実感がより強くなっていきました。

そして、先生がマイクを口にし、
あの優しかった先生の口からとは思いもしない、まさかまさかの一言が口から飛び出したのでした。

一言目に、

「みなさん、くそって知ってますか?」

子供達は、えっ?という驚きと同時に、一瞬にして笑いに包まれました。

続けて、

「皆さんはくそと言えば、何が思いつきますか?
例えば、はなくそ?、めくそ?、みみくそ?、、、、色々ありますよね。全部汚いですよね〜。他に何かありますか?」

全生徒は、色んな"くそ"の名前を言いながら、引き続き笑いに包まれていました。

そして、先生は続けました。

「でもね。その中で最も綺麗な"くそ"があるの、みんな知ってますか?」

そんなんあるわけないやん!と子供達が笑っている中、先生は続けました。

「一つだけ、とっても綺麗なくそってあるんですよ。」

「それはね、、、」


「"なにくそ"です。」


「このくそはとっても綺麗なもので、これからあなた達が生きていく中で助けになったり役に立ったりする、とても大事なくそです。
この"なにくそ"の気持ちを大切に忘れず頑張っていって下さい。」

最後、先生は涙声を絞り出しながらそう締め、涙を拭きながら朝礼台を降りていったのでした。

一瞬の出来事で、私は悲しさと面白さと、大切な言葉を授けられたような衝撃的な感触とで、少し混乱していました。

そして、時が経ち、大人になって、
あの時の光景を思い出す時が度々あったりするんです。
大人になって思い出すと、どんどん言葉が深みを帯びていくように、何だか胸が熱くなるような感覚になってきたりして。

誰しも生きていれば、上手くいかない事や辛い状況に立たされる事も少なからずある中で、私個人にとっても、何かを諦めそうになったり、投げ出しそうになった時に、思い返せば、いつも"なにくそ"がそばで支えてくれた事が無数にあるように思います。
そして、
これからもお世話になり続けることでしょう。

自分が大人になった今の大人目線で見ると、
朝礼で子供達の心に残る言葉を伝えるのは難易度が高い中、
"くそ"という言葉で、最初に子供達の意識を鷲掴みにして引きつけて、本当に伝えたい大切な事を紛れさせておく手法が、とてもよく考えられているし、
スピーチとしての素晴らしさに気付かされます。

教育現場は、非常に過酷だという話を聞く事も少なくない昨今ですが、
教育に関わる方々は、非常に多くの子供達の人生の中で、心や記憶に残り続けられる、本当に素晴らしく尊い仕事だと感じ、尊敬の念で一杯です。

これからも、困難があろうとも、大好きだった先生が残してくれた"綺麗なくそ"を胸に、引き続き精進していきたく思っております。

今回は、この季節になると、ついつい思い出してしまうという、完全なる個人的な私的なお話でした。

それでは、また4月に!