2022/11/11 14:01
気付けば今年の終わりへのカウントダウンも聞こえ始めたような昨今でございます。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?
DajeyLeatherProductsは相変わらず、受注に追われながらも、一つ一つ真摯に向き合い製作に励む日々でございます。
そんな10月頃、思わぬ形で久しぶりの再会を果たした出来事がありました。
それは、
お客様から一通のメッセージでした。
「7年半程前、お財布を注文させて頂きました。その頃は彼氏へのプレゼントとして注文させて頂きましたが、
その後、彼と結婚し、今では子供も授かりました。
そんな中、今も続けて財布を使っています。
だけど、長年の中で破れや擦れが出てきました。彼はこれからも使い続けたいとのことです。修理等は可能でしょうか?」
そのお財布は、現在も多くの方にご愛顧頂いている
"Basic"アートウォレット 二つ財布でした。
7年半という時間の移り変わりの中で、
周りの、人やモノ、環境が変化していく事の方が多い中で、
変わらず使い続けて頂いたこと、
そんな移り変わっていくストーリーの中で、その一部として共にして頂けた事に感慨深さを感じさせられました。
そして、
7年半前というのはDajeyLeatherProductsが始動して1年も経っておらず、
まだ手探りで進めていた頃でもあり、
現在のように御注文を継続して頂けてない頃でもありました。
そんな中での御注文でしたので、お客様とのやり取りなんかも、実は今でもはっきり覚えていたするのです。
二つ返事で修理、補修のご依頼をお受けさせて頂きました。
そして、
お客様から、お財布を工房に発送頂く流れとなりました。
到着し、開封する際のドキドキは、
旧友と再会するような気分そのものでした。
封を開けると、そこには初期タイプのアートウォレットが、やはり経年の中で少しくたびれて、コインケースの裏地や、エッジの部分に破れが生じていたものの、勿論面影はあの頃のままで、今となれば随分と改良を重ねた事もあり、ディテールは現行のものと違ってくるけども、その分、あの頃ミシンに向かっていた景色や工房の風景が思い出されました。
お客様の、彼氏様からご主人様へと変わっていく過程の流れに感慨深さを感じながらも、よくよく考えると個人的にも多くの変化があったな〜なんて頭をよぎっちゃいますね。
やっぱり7年半って大きいですよね。
年長さんが中学2年生になりくらいですからね。当たり前ですけど。
そりゃ私も歳もとるわけだ(苦笑)
お財布との再会の前、
時を経て、様々な改良を重ねてきた事もあったり、技術面や質の部分でのレベルを常に向上する意識を持って日々取り組んでいる事もあり、
現在の目線で見た時に、質の面でどう感じるのかという不安もありましたが、
やはり、昔から真摯な姿勢で革製品に向かいあってきた自負だけはあるだけに、質の面やお財布自体の耐久性は問題無く安心しました。
その後、
劣化箇所を補修、補強し、革のメンテナンスを行い、見違えて輝きを取り戻したのでした。
その作業をしている際は、
個人的には実は作業とは思っていなかった節がありまして、
プライベートな対話というか、
久しぶりの息子ような友との再会に相応しく、積もる話を沢山会話しているような、
オーナー様との思い出話を聞かされているような、こちらが話しかけてもいるような、
(少し怖くてすみません笑)
不思議な感覚を感じながら、
気付けば再会の時間はあっと言う間に過ぎ去り、
梱包をする時がきたのでした。
思い返せば、
再会出来たのは、
長年、お客様に大切に使って頂き、
これからも使い続けたいという思いを持って下さったからこそのその奇跡だったんだなと、
改めて感謝の思いが溢れながらも、
次また再会出来るのだろうか?
いや、そんな簡単に再会してしまうというのは、また別の問題があるよな、
という複雑な感情のまま、
最後にピカピカに磨いて、
行ってこい!と送り出したのでした。
思い返せば、あっという間の一時でしたが、
なまじっか再会しちゃただけに、
ふと、今頃どうしてるんだろうか?なんて考えちゃったり、不思議な感覚でございます(笑)
お客様(ご主人様)の、数え切れない思い出の中に常にポケットに入っていて、
そのお財布は、作り手としても大切な思い出の一つでもあって、また今回の再会も大切な思い出になって、
例えば、一見財布一つに見えても、
長く使われるモノっていうのは様々な視点からの愛情が詰まっていたりするもんだよなと、
モノづくりをしていながらも、革製品に限らず、ふと身近なモノ達に情を感じたりして、
なんか、そんな感覚を改めて思い出させてくれた貴重な機会だったように感じます。
ギフトとしてプレゼントして頂いたお客様(奥様)のお気持ちや愛情そのものに勝る価値は、そのモノ自体には無いのかもしれませんが、
時間の経過と共に、
モノ自体にも新たな価値が育くまれ付加されていく過程をイメージしながら、
これからも、長くお使い頂けるモノづくりに精進したいと思います。
それでは、また次回。